皮膚科診療

皮膚の健康を保つための予防策やケアのアドバイスも提供します。皮膚トラブルがあればお気軽にご相談下さい。

目次

にきび

アトピー性皮膚炎

じんましん

じんましんの原因と症状

じんましんは、突然に赤く蚊にさされたような発疹が皮膚に現れ、かゆみや焼けるような感じを伴います。発疹はしばしば膨れ上がり、その形は円形、線状などさまざまで、数十分から数時間もすると何もない元の肌に戻る病気です。中には1日以上続くものもありますが、非常にまれです。一つの皮膚の部分に限らず、身体中に広がることもあります。じんましんは、アレルギー反応が原因と思われることが多いですが、食べ物や薬、感染症、ストレス、疲労、運動、寒暖差などがさまざまあります。約7割の患者さんは原因がわからない、特発性のじんましんです。過敏な体質に加えて、特定の食べ物を摂取し、さらにストレスなどがある状況など複数の要因が組み合わさり、「コップから水が溢れてしまうが如く」体が耐えきれず症状が起こることが多いです。

じんましんの診断方法

じんましんは一般的には特有の症状と発疹が見られるため、通常、病歴を聞き、症状を観察して診断します。発疹が出ているのが短時間であるため診察時には症状が落ち着いていることが多いです。発症時の写真があると診断の手助けになります。アレルギー性が疑われるものがあれば、アレルギー検査などが行われることもあります。しかし、非アレルギー性である場合は、原因が特定できないことが多いです。

※薬理活性を持つ何千種類もの化学物質が食品中に存在し、その一部は食品の保存や味・外観を改善するために添加されています。これらの化学物質は、ヒスタミンやサリチル酸塩のような天然の食品化学物質である場合もあれば、グルタミン酸塩、亜硫酸塩、安息香酸塩のような食品添加物である場合もあります。これらによって真の食物アレルギーとは異なる機序でアレルギー症状(じんましん)を引き起こすことがあります。

ヒスタミンに似た物質を多く含む食べ物
青魚(特に鮮度が落ちたサバ・イワシなど)、発酵・醸造食品(チーズ・ワイン・ビール・みそ・しょうゆなど)、野菜や果物(ナス・トマト・ヤマイモ・タケノコ・アボカド・バナナ、パイナップル・キウイフルーツなど)、肉類(牛肉・豚肉・鶏肉など)、チョコレートなど

サリチル酸を多く含む食べ物
野菜や果物(もも、リンゴ、イチゴ、トマト、オレンジ、パイナップル、ブドウ、じゃがいも、きゅうりなど)、食品添加物(防腐剤、人工色素、酸化防止剤)

他の物質
香辛料など

じんましんの治療

基本的には抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)の飲み薬が第一選択になります。重症な場合は短期間だけステロイド薬を使用することもあります。原因がはっきりしている場合は、その食品、花粉、ハウスダストなどの要因を避け、さらに増悪させている因子(ストレス、感染、不規則な生活など)の解消につとめる必要があります。
じんましんが慢性的に続いている場合は、症状がでていない時期にも長期間にわたって薬を内服する必要があります。症状が抑えられるようになれば徐々に薬を減らし、その後慎重に中止していきます。

じんましんの注意点

じんましんによるかゆみが強く、掻くと一時的に症状が和らぐものの、範囲が広がったりかゆみが悪化することがあります。さらに、搔きむしることで皮膚を傷つけてしまうことがあります。薬をしっかりのんだり、冷やしたりなどの対処を行い、できるだけ掻くことを避けましょう。

治療で使用される抗ヒスタミン薬の副作用で眠気がよくあります。眠前のみ内服すればいい種類の薬や比較的眠気が少ない薬もあるので眠気が強い場合は相談しましょう。

大人の食物アレルギーによるじんましんは珍しいです。よくあるカニ・エビなどの甲殻類、そばや小麦などのアレルギーは子供の時に食物アレルギーを起こしていて既にわかっているケースがほとんどです。食物アレルギーではなく、じんましんを起こすヒスタミンやヒスタミン様物質が多量に含まれている食品の摂取やサリチル酸アレルギーでサリチル酸が含まれている食品の摂取が原因の場合があります。上記の食べ物をじんましんがでる前に食べていないか確認しましょう。

尋常性乾癬

乾癬の原因と症状

乾癬は、赤い盛り上がった発疹の上に、鱗屑といった皮膚の粉、皮むけが全身にでる疾患です。乾癬の患者さんのうち、約9割の方は尋常性乾癬と呼ばれる病型です。乾癬は10歳から50歳ぐらいに発症することが多く、さまざまな大きさ、数、形で、それぞれが癒合して大きな病変になることもあります。慢性の機械的な刺激を受けやすい、頭部、肘・膝、臀部、下腿伸側などに好発します。乾癬は通常、内臓異常を起こすはありませんが、爪の変形、関節炎を合併することがあります。
乾癬の原因は、完全にははっきりしていませんが、遺伝や環境の影響も考えられます。風邪などが契機に発疹が出たり、こすったりする機械的刺激、ストレスなどがあげられます。日光、紫外線は問題ないと考えられています。

乾癬の治療

乾癬は軽快・悪化を繰り返す慢性疾患です。患者さんの状況に応じて外用薬、内服薬、(光線療法)が選択されます。

乾癬の注意点

定期的なフォローアップと健康な生活習慣の維持が重要です。
乾癬の中には汎発性膿疱性乾癬とよばれる重症型があります。発熱し、膿疱が多発する際には入院加療が必要になります。
服やタオルで擦れる部位などのケアも必要です。ゆったりとした服の着用、綿のタオルなどを使用し、強くこすらないようにしましょう。
皮膚が剥がれ落ちる場合は無理に剝がさないようにしましょう。

イボ(尋常性疣贅)

イボの原因と症状

「イボがある」と受診される方の中には実際には皮膚の腫瘍であったり、様々な皮膚疾患が含まれています。通常、「イボ」と呼ばれるものは医学用語で尋常性疣贅といわれるウイルス性が感染して生じる皮膚から盛り上がっている小さなできものです。他にもミズイボ(伝染性軟属腫)やスキンタッグなどの種類があります。
イボ(尋常性疣贅)はヒト乳頭腫ウイルスの感染が原因で、このウイルスが皮膚の基底細胞に感染すると細胞分裂が盛んになり、基底細胞が増殖することでイボができます。ウイルス感染であるためうつる可能性がありますが、正常の皮膚はバリア機能が保たれているため感染しにくいと考えられています。しかし、小さい傷がある場合にはウイルスが侵入する恐れがあります。全身どのにでもできますが、多くは手や指、足の裏に、数ミリの盛り上がりで、症状はほとんどなく、一個の場合もあれば多発することもあります。

イボの診断方法

ダーマスコピーで観察したり、他の疾患が疑われる場合は一部の皮膚を採取し顕微鏡で確認したりします。

イボの治療

イボの治療は、原因ウイルスを排除し、できたイボを取り除くことですが、特効薬はありません。一般的には液体窒素を用いて、感染した皮膚ごと壊死をさせ剝がれさせる冷凍凝固法をおこないます。凍結させた部位は数日後に剥がれおち、剥がれた部位の下から徐々に免疫が高まった新しい皮膚に生え変わらせる治療ですが、一回の治療で治すことは困難です。1~2週おきに繰り返し行う必要があり、途中で治療をやめてしまうと再発したり広がってしまう可能性があります。この治療の問題は痛みがあることです。
他に、サリチル酸軟膏を張ったり、ヨクイニンと呼ばれる漢方の内服をする場合があります。よく効く方もいる一方で、あまり効果がない方もいらっしゃいます。

イボの注意点

液体窒素による冷凍凝固法で水ぶくれができたり、痕が残る場合があります。

スキンタッグ(首イボ)

スキンタッグは、首や脇の下にできる褐色の小さいイボです。上記のイボ(尋常性疣贅)と違い、非ウイルス性イボのため感染するリスクはありません。スキンタッグは、衣服やネックレスによる摩擦、皮膚の老化、紫外線などが原因として考えられています。実際には、大きさによって分類されており、盛り上がりがない状態を「アクロコルドン」、2mm~5mmの盛り上がりのものを「スキンタッグ」、5mm以上のものを「軟性線維腫」と呼ぶことがあります。治療としては、イボ(尋常性疣贅)と同様に、液体窒素によって細胞を壊死させる方法があります。他に、レーザーで削る方法や、小さい場合は専用ハサミで切除する方法があります。

ミズイボ

ミズイボは、伝染性軟属腫と呼ばれ子供に多いものです。上記のイボ(尋常性疣贅)と同じウイルス性イボでありますが、伝染性軟属腫ウイルスという違うウイルスが原因です。ミズイボは、手足ではなく身体にでき、数mmの光沢があり、中心が少しへこんでいる特徴があります。治療に関しては、意見が分かれるところでミズイボセッシで摘み取ったり、イボ(尋常性疣贅)と同じように液体窒素で冷凍凝固することもありますが、多発するためこれらの治療は痛みに弱い子供の治療としては向きません。塗り薬や内服薬で様子をみることもありますが即効性はありません。自然に治ることも多いです。そのため施設間でも対応や意見が異なります。

手湿疹・手荒れ

手湿疹の原因と症状

手湿疹といっても、手にできる湿疹に多くの種類があり、原因や治療法が異ります。それぞれの原因に対する適切な治療でかなり症状を抑えることができます。
その中でも主婦湿疹とよばれる手湿疹が多くの主婦を悩ませています。手の表面の皮膚は外部の刺激から守るため、他の部位よりも厚くなっています。しかし、水洗いなど水仕事を繰り返すと皮膚表面の皮脂や水分が減り、物理的な摩擦で皮膚のバリア機能が低下します。さらに、洗剤などの化学物質への刺激も影響し炎症や発疹ができてしまいます。
はじめは、手指のカサカサであったのが、皮膚がパクっと割れて、皮むけやジクジクと水ぶくれなどの症状をおこします。傷ついた皮膚は細菌の感染がしやすく、傷が深いと痛みを伴います。

手湿疹の診断方法

手湿疹の原因にはいくつかあり、かび(真菌)が疑わしければ、皮膚の一部を採取して顕微鏡で観察することがあります。

手湿疹の治療

治療は、手湿疹の原因となる物質や行為があれば避けること、保湿剤を塗ることが大切です。また、炎症が強ければステロイド外用薬を使用します。痒みが強ければ抗アレルギー薬の内服を行います。
塗り薬を使用する際、軟膏タイプでは手のべたつきで日常生活が送りづらくなるため、クリームタイプを使用することが一般的です。しかし、痛みが強い場合はクリームタイプでは刺激になることがあり、軟膏タイプを使用頂くこともあります。

手湿疹の注意点

水温を低めに設定し、手が乾燥する前にこまめに保湿をすることが大切です。仕事や家事で手を頻繁に洗う必要がある場合、せっかく塗った薬も洗い流されてしまうため、こまめに塗る必要があります。水仕事の時にゴム手袋をつけることも有効で、蒸れてしまう場合は、綿の手袋も下に着用するといいです。
使用する洗剤が多すぎる可能性や洗剤へのアレルギー性接触性皮膚炎の場合もあります。洗剤の使用方法や成分をよく読み、適量を使用したり低刺激の製品を利用することも有効です。

粉瘤(アテローム)

粉瘤の原因と症状

粉瘤は本来は皮膚から削げ落ちるはずであった皮膚の皮脂や垢が皮下に袋状状に溜まって、徐々に大きくなった良性の腫瘍です。粉瘤はアテロームとも呼ばれます。頭皮、顔、首、背中など体のどこにでもできます。
粉瘤は一般的には無痛で触ると柔らかいですが、大きくなると周囲の組織に圧迫をかけ、痛みを感じることもあります。中心には黒色の開口部があり、強い圧迫が加わると、ドロッとした独特の臭いがする膿が出てくることがあります。開口部から細菌が入ると炎症を起こし感染性粉瘤となり、痛みや腫れが生じるため、炎症を抑える必要があります。

粉瘤の診断方法

粉瘤は通常、症状や触診、超音波などによって診断されます。他の腫れや腫瘍との鑑別が必要です。

粉瘤の治療

自覚症状がなければそのまま様子を見ても問題ありませんが、整容的な問題や感染のリスクがある場合は、手術によって袋状の構造物をくり抜いて取り出す必要があります。感染性粉瘤となっているときには再発を起こすリスクが高く完全に取り出すことが困難であるため、「切開排膿」という、緊満した袋の中の内容物を出す治療を行います。この場合、袋状の構造物は残っているため、再発する可能性があり、後日あらためて摘出を行う必要があります。

粉瘤の注意点

粉瘤ができても無理に触ったり潰そうとしないようにしましょう。細菌が侵入するのを防ぐ必要があります。

粉瘤は不潔にしているからできると勘違いしている人がいますが、袋状の構造物ができやすい体質が原因といわれています。

帯状疱疹

帯状疱疹の原因と症状
帯状疱疹の原因は水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster Virus)と呼ばれるウイルス感染症です。以前に水痘を経験し、神経に潜伏していたウイルスが再活性化することで引き起こされます。年齢が上がるほど免疫機能が低下しやすくなり、加齢だけでも帯状疱疹の発症リスクが高まります。また、がん治療や免疫抑制治療を受けている方は免疫機能が低下しているため帯状疱疹の発症リスクが高まります。主な症状には、激しい痛みやピリピリ感が伴う発疹が帯状に広がります。発疹は水疱やただれとなり、かゆみや灼熱感(神経痛)も感じられます。発疹が顔や体の片側に限局することが特徴です。痛みの程度は様々で、発疹が治まった後も長い期間にわたり神経痛が続くこともあります。

帯状疱疹の診断方法
帯状疱疹の診断は通常、症状や発疹の様子を見て判断されます。時には、発疹部位から綿棒で内容物を採取しウイルスの検査が行われることもあります。簡易な検査であり、数十分程度で結果がでます。

帯状疱疹の治療
帯状疱疹の治療には、抗ウイルス薬や痛み止めが一般的に使用されます。早期に抗ウイルス薬による治療を開始することで、症状の軽減や合併症の予防が期待できます。発疹が出現しているときの疼痛に対しては、痛み止めの内服をしますが、疼痛の症状によってはペインクリニックでの神経ブロックなどの治療が必要になる場合があります。また、安静に過ごすことが効果的です。

帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹の発症を予防するためには、帯状疱疹ワクチンが有効です。乾燥組換え帯状疱疹ワクチン「シングリックス筋注用®」の接種対象者は、これまでの「50歳以上の者」に加えて、「帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の者」が追加されました。

新型コロナワクチンと帯状疱疹ワクチンを同日に併用して打つことはできません。 新型コロナワクチンとその他のワクチンは、片方のワクチンを受けてから2週間後に接種可能です。局所反応の副反応は3日から1週間以内にはおさまる一時的な症状ですが、ややシングリックスのほうが強いと言われています。シングリックスのほうが効果が高いものの、2回接種を要し、費用が高い面もあります。

帯状疱疹の注意点
・帯状疱疹は水痘(みずぼうそう)と同じウイルスが原因なので、水痘にかかってない方、特に赤ちゃんかお子さんへはみずぼうそうをう発症させる可能性があり注意が必要です。帯状疱疹が他の人にうつることはありません。
・帯状疱疹と診断されたら、自宅でできるだけ安静にしましょう。疲労やストレス、免疫力の低下が原因であり、帯状疱疹の発症は体が弱っているサインです。十分に睡眠をとり、心と体を休めることが大切です。
・帯状疱疹の疼痛は冷やすとひどくなることがあります。体を温めるようにしましょう。自宅のお風呂にならつかってもかまいません。
・水泡がかぶれると、そこに他の菌がにる感染が起こりやすくなります。水泡には直接触らないようにしましょう。
・目の近くにできた場合、角膜障害から視力低下やひどいと失明する可能性があります。眼科への確認も必要です。
・耳にできた場合、顔の半分が動かなくなる顔面神経麻痺を起こす可能性があります。

ヘルペス

ヘルペスの原因と症状

口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症です。単純ヘルペスウイルスには1型と2型の2つのタイプがあります。1型はくちびる、顔面に、2型は陰部などの性器を中心とする下半身に主に発症します。子どものころには、ほとんどの人が家族から口唇ヘルペスに感染していました。しかし最近は、衛生状態が良くなったり、家族が少人数になったりした影響で、20代~30代では約半分の人しか抗体を持っておりません。子どものころに初めてヘルペスに感染すると、ほとんど症状がないか、あっても軽いことが普通です。一方、大人になってから初めて感染すると、症状がひどくなることがあります。

症状としては、軽いピリピリ感から始まり、その後、水ぶくれやただれ、痛みを伴うことがあります。症状が出ている時期は、口唇ヘルペスの水ぶくれにはウイルスがたくさん存在しています。これにかかったことがなく、免疫がない人や免疫が弱っている人は、触れることで口唇ヘルペスに感染しやすくなります。感染すると、接触から3~7日ほどで症状が現れることが一般的です。自分が感染部位に触れた後に他の部位に触れることで、感染が広がることもあります。ウイルスを持っているけれども症状が出ていない場合、ウイルスは神経節に潜んでいることがあります。しかし、唾液や精液などにはウイルスが含まれていることがあり、これがキスやセックスを通じて相手に口唇ヘルペスや性器ヘルペスをうつす可能性があります。

ヘルペスの診断方法

ヘルペスの診断は通常、症状や発疹の様子を見て判断されます。時には、発疹部位から綿棒で内容物を採取しウイルスの検査が行われることもあります。簡易な検査であり、数十分程度で結果がでます。

ヘルペスの治療

ヘルペスの治療には、抗ウイルス薬や痛み止めが一般的に使用されます。早期に抗ウイルス薬による治療を開始することで、症状の軽減が期待できます。しかし、重症の場合や内服薬が効かない場合には点滴注射薬、入院治療が必要になることがあります。

ヘルペスの注意点

口唇ヘルペスは感染者が症状を持っているときだけでなく、症状がないときでも感染のリスクがあります。予防のためには、感染部位に触れる際の注意や、キスや性行為の際に相手とのコミュニケーションが大切です。

アトピー性皮膚炎の方は、皮膚のバリア機能が低下しているので、皮膚から皮膚に感染して、掻くことで広げてしまい症状がひどくなることが多いので特に注意が必要です。発熱したり、リンパ腺が腫れたりすることもあり、アトピー性皮膚炎に合併する単純ヘルペスの診断が難しい場合があります。

水虫

水虫の原因と症状

水虫は主に白癬菌(カビ)が原因で、足の間(足白癬)や爪(爪白癬)、陰部(陰部白癬)など、湿気のたまりやすい場所で感染しやすいです。多くの人が素足で歩く場所には白癬菌は存在しています。特に、乾きにくい靴やお風呂場などの濡れた床は注意が必要です。水虫に感染すると、かゆみ、赤み、ひび割れ、そして悪臭がすることがあります。爪白癬の場合、足の爪が変色・変形したりすることもあります。さらに症状が進行すると、水泡やただれも見られることがあります。水虫はすごくかゆくなる病気という印象があるかもしれませんが、かゆみの症状がない人、夏だけかゆい人、水虫に気づかない人が多くいます。

水虫の診断方法

見た目だけでは水虫かどうかは見分けることができない場合が多いです。
白癬菌は皮膚の表面に存在する角質を栄養として増えます。そして、角質や爪、毛に寄生するので、患部をメスでかすりとったり、ハサミでとって、顕微鏡で観察します。白癬菌を確認できれば診断できますが、観察部位によっては菌が確認されないこと、市販の薬で部分的によくなって菌がいなくなっていること、また他の病気と合併していることがあり、経過によっては何度か検査させて頂くこともあります。

水虫の治療

水虫は適切な塗り薬を根気よく続ければ根治できる病気です。非常に再発しやすいのでだいたい半年以上の治療期間が目安で、かゆみや見た目が良くなった後も塗り続けていく必要があります。塗るタイミングは、お風呂できれいに足を洗った後、水分をふき取り、その後、乾燥してから塗ることがポイントです。足の裏、足の側面、足の指間、足の指、爪の周囲、かかとのとまんべんなく塗ることが重要で、適切に塗ると1日当たり約1g程度使用することになります。
爪専用の外用薬の場合は、皮膚がかぶれる可能性があるので、爪を塗る際に回りの皮膚についてしまったらふき取るようにしてください。爪白癬の場合、爪が伸びて生え変わるのにも時間を要し、半年~1年程度の治療期間が必要です。
塗り薬で治療していても、重症の水虫の場合は飲み薬でないと治りにくい場合があります。薬の内服する期間は3~6か月ですが、内服の終了後も効果が持続し、その後も改善していくことが期待されます。それでも治癒できない場合は飲み薬の種類の変更などが必要になることもあります。飲み薬による副作用で肝機能障害などが起こる可能性があるため、開始前、開始後、治療中にも定期的な採血検査を行う必要があります。他の病気で内服されている薬で併用ができない場合もありますので、現在内服されているお薬を確認させて頂きます。

水虫の注意点

足の清潔を保ち、通気性の良い靴や木綿や麻の靴下を選ぶことも大切です。
水虫は家族にうつしてしまう可能性があります。また、毎年水虫になる方は、知らないうちに家族同士でうつしあっている可能性があります。治療はもちろんですが、足ふきマットやスリッパを別にしたりするなどの日常生活の見直しも大切です。
白癬菌が侵入した水虫のところから他の細菌が入って皮膚の細菌感染を起こして重病にかかわる可能性があります。
水虫かもしれないと思ったら早めに病院に受診しましょう。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎の原因と症状

脂漏性皮膚炎は皮脂の分泌が多い部分に起きる皮膚の慢性炎症です。脂漏性皮膚炎の原因は、誰の皮膚にもいるマラセチアというカビが関わっていると考えられています。このカビが皮脂を分解し、分解された物質が皮膚に刺激を与えるため、赤みやカサカサを起こします。症状が出やすいのは頭皮、髪の毛の生え際、眉毛や耳や鼻のまわり、脇の下、胸、背中などです。カビは皮脂を栄養源としているため、皮脂が多くなると増殖する恐れがあります。

脂漏性皮膚炎の治療

カビの治療のための抗真菌薬外用薬や炎症をおさえるためのステロイド外用薬が用いられます。皮脂の分泌を抑えるためのビタミンの飲み薬や、痒みが強い場合は抗ヒスタミン薬の内服を行う場合もあります。
症状が落ち着いた後、しばらくして再発するおそれがあるため、脂漏性皮膚炎が生じた原因への対策を行い、予防することが大切です。

脂漏性皮膚炎の注意点

皮脂の成分や分泌量を整えていく必要があります。食生活やストレス、寝不足、ホルモンバランスの乱れも影響します。もちろん、皮脂がたまらないように洗顔、洗髪を行うことが必要ですが、その際は強く擦り過ぎないように注意し、優しく泡で洗うようにしましょう。

シラミ症

シラミ症の原因と症状

シラミはかろうじて目に見える程度の昆虫で、人に寄生します。人に影響するするシラミには、主に3種類があり、頭に寄生する「アタマジラミ」、衣類に寄生する「コロモジラミ」、陰毛に寄生する「ケジラミ」があります。皮膚から吸血することで強いかゆみが生じ、湿疹を起こします。

シラミ症の診断方法

毛にシラミやその卵が付着しているのを確認します。シラミとフケやケアキャストなどの付着物を見きわけるため顕微鏡で判別していきます。

シラミ症の治療

アタマジラミの治療には保険適応の薬はありません。市販のしらみ駆除用のシャンプーを購入いただき、3日に1度、計4回使用頂きます。シラミは孵化するのに7日かかります。シャンプーはシラミの成虫には効果がありますが卵には効果がないため、4回使用して卵からかえった期間もカバーする必要があります。

シラミ症の注意点

お風呂だけではアタマジラミはうつりません。子供同士が頭をくっつけてじゃれあったり、寝具、タオル、クシなどをほかの人と使いまわすとうつる可能性があります。シラミは繁殖力が強く、すぐに数が増えるため早期発見して治療に臨む必要があります。
兄弟がいる場合、両親も症状があれば同時に治療する必要があります。寝具やタオルは熱湯で処理をした後に洗濯し、アイロンを当てるとシラミを死滅させるのに有効です。

とびひ

とびひの原因と症状

とびひは伝染性膿痂疹と呼ばれる皮膚の細菌感染症です。接触でうつり、火事の飛び火のように広がるため「とびひ」と呼ばれています。多くのシチュエーションは、虫刺されやあせも、アトピー性皮膚炎などで掻いた傷に細菌感染を引き起こしてとびひになります。特に鼻の周りから始まる場合が多く、鼻の周囲には様々な細菌がもともと皮膚に常在しており、子供が鼻を触る癖があると、その手で引っ搔くことでとびひが始まります。とびひには大きく2種類に分けられます。1つはみずぶくれができて、皮膚がむけることが多い水疱性膿痂疹と、もう1つは炎症が強く、かさぶたが厚く付いたみずぶくれができにくい痂皮性膿痂疹です。

とびひの診断方法

ほとんどの場合は、臨床的な特徴から診断を下します。場合によっては細菌培養検査や血液検査を行うこともあります。

とびひの治療

原因となる細菌に対する抗生剤の内服薬や、抗菌薬入り塗り薬を使用して治療を行います。かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬を服用することがあります。水泡性膿痂疹の場合、水疱の内容液によって広がる恐れもあるため軟膏を塗った後に、全体をガーゼで覆い、1日数回取り替える必要があります。

とびひの注意点

他人にうつしたり、皮疹が悪化する可能性があるため、プールは完全に治るため禁止です。
A群β溶血性レンサ球菌の感染で、まれに腎機能障害を呈する可能性があります。必要に応じて採血や尿検査を行います。
黄色ブドウ球菌の感染で、黄色ブドウ球菌が作る毒素によって全身やけどのように赤く皮膚が剝けてくるブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)という全身に広がる病気に発展することもあります。入院治療が必要になる場合があります。

円形脱毛症

円形脱毛症の原因と症状

円形脱毛症は、主に免疫系の異常で、体の免疫細胞が誤って体の健康な毛根を攻撃してしまい、円形や楕円形の脱毛が生じる脱毛症の一種です。この症状はストレスや感染症などが引き金になるとされていますが、実際には明らかな原因がないことがあります。
症状としては、頭部の髪が円形に抜け落ち、丸いパッチ状の脱毛が見られることもあれば、それが多発したり、生え際が帯状に脱毛するタイプ、頭部以外にも脱毛がみられるタイプがあります。脱毛前に軽い掻痒感や赤くなることがありますが、多くは皮膚には何らかの変化がないため、初期は見逃されやすいことがあります。

円形脱毛症の診断方法

円形脱毛症の診断には、脱毛の経過や合併症の確認が必要です。ダーモスコピーでの観察や自己免疫疾患の合併の精査のため血液検査を行うこともあります。

円形脱毛症の治療

治療法にはいくつかの選択肢があります。保険適応がある一般的に、ステロイド外用薬やステロイド局所注射があります。他にも、光線療法や薬物療法(JAK阻害薬、ステロイド内服、抗アレルギー薬、セファランチン、グリチルリチン)なども検討されることがあります。ただし、治療法の選択は個々の症状や進行具合により異なります。
直接的な治療効果はありませんが、ウィッグ(かつら)の使用は生活の質を上げたり、前向きな気持ちになれるなどの影響をあたえることがあります。蒸れたりすることで治療への影響はありません。

円形脱毛症の注意点

脱毛が急速に進行する場合には入院して行う点滴静注ステロイドパルス療法がおこなわれる場合があります。
自然に改善することもありますが、早期発見と適切な治療で改善の可能性が高まります。気になる際は病院を受診してください。
円形脱毛症は心理的に負担を伴います。ストレスをためこまないよう、リラックスできる環境づくりも大切です。

男性型脱毛症(AGA)

※白斑、あざ、ほくろ、嵌入爪の項目は削除

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