尿潜血とは、尿中に血液が混じっている状態を指します。通常、尿には目に見えるほどの血液が含まれていないため、尿潜血が出現すると、それは何らかの異常の可能性があります。
尿潜血の検査結果は、一般的に「-(マイナス)」、「+(プラス)」、「+-(プラスマイナス)」で示されます。これらの値は、尿中の赤血球の数やヘモグロビンの量を評価するために使用されます。
- -(マイナス): この結果は、尿中に血液が検出されなかったことを示します。通常は異常とは見なされません。
- +(プラス): この結果は、尿中に微量の血液が検出されたことを示します。+の数が増えるほど、尿中の血液の量も増えています。最大3+まであります。+の場合、尿中に見た目で血液が混じっているわけではありませんが、尿中の赤血球やヘモグロビンの数が基準値を超えていることを示しています。追加の評価が必要です。
- +-(プラスマイナス): この結果は、尿中に中程度の量の血液が検出されたことを示します。+(プラス)よりも尿中の血液の量が少ないことを意味しますが、病的な異常の可能性は否定できません。
次に尿潜血が陽性となる原因の疾患について説明します。
- 尿路感染症: 尿路感染症は、尿道、膀胱、腎臓などの尿路に細菌感染が起こる病気です。この炎症により、尿中に血液が混ざることがあります。
- 尿路結石: 腎臓や尿路に結石が存在する場合、結石が尿路組織に損傷を与え、血液成分が尿中に混ざることがあります。
- 腎臓の疾患: 腎臓の疾患、例えば糸球体腎炎では腎臓の糸球体という血液から尿を作るフィルターに損傷を与え、血液成分が尿中に混ざることがあります。膀胱癌や尿管癌でも、血液が尿中に現れることがあります。
検査結果が陽性(+)である場合、それが必ず病気や異常があるわけではありません。尿潜血の偽陽性(実際にはその病気ではないのに検査結果が陽性に出たこと)の可能性もあります。偽陽性の原因について説明します。
- 食事や運動: 強い運動や食事によっても尿中に血液が混ざることがあります
- 特定の薬物: 特定の薬物や製剤の使用は、尿潜血の結果に影響を与える場合があります。
- 生理: 女性の場合、生理中に尿中に血液が混ざることがあります。
- 異常な尿pH値: 尿のpH値が異常に高い(アルカリ性)または低い(酸性)場合、尿潜血の結果に影響を与えることがあります。
上記は一部の例です。
病歴を確認したり、検査時の体調、追加の検査や評価、他の検査結果と照らし合わせて判断する必要があります。
次に一般的な追加の検査について説明します。
- 尿沈渣: 尿中の赤血球や異常な細胞や物質を観察するために尿沈渣の顕微鏡検査が行われます。これにより、赤血球の形態や数などが評価されます。
- 尿培養: 尿路感染症が疑われる場合には尿培養が行われることがあります。尿培養では、尿中の細菌の存在や量を確認し、菌種や抗生剤への反応性の有無の確認をします。
- 画像検査: 腎臓や尿路に異常があるかどうかを確認するために、超音波検査、CTなどの画像検査が行われることがあります。これにより、結石、腫瘍、腎臓の形態などを確かめます。
- 血液検査: 腎機能や炎症の有無を評価するために、血液検査が実施される場合があります。血清クレアチニンや尿素窒素(BUN)などの指標は、腎臓の機能を評価するためによく使用されます。
これらの追加の検査や評価は、尿潜血の原因や疾患を特定し、適切な治療法を選択するために重要です。専門医の指示に従って、適切な検査を受けることが大切です。
検診で尿潜血陽性(+)を指摘されたら、まずは病院受診をしてください。
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